外国人材が仕事を選ぶ決め手は「手取り・残業・住まい」の3点です
外国人材が仕事を選ぶ決め手は、1位が手取り額(18.5%)、2位が残業の多さ(15.3%)、3位が家賃補助(12.2%)で、金銭系だけで46%を占めます(アイデムグローバル2023・n=356)。74.2%が「手取り18万円以上」を最低希望としており、額面25万円でも寮費3万円を天引きすると手取り17万円となり、この心理ラインを割ります。特定技能「建設」は日本人と同等以上の報酬と月給制が法的義務のため、「外国人だから安く」という選択肢は制度上存在しません。
「外国人なら安く雇えるのでは」
この前提で始めると、たいてい採用できません。制度上できないという話でもあり、そもそも彼らの選び方が違うという話でもあります。
まず、彼らが何を見て会社を選んでいるのかを数字で見てください。
決め手の上位3つは、全部お金の話
| 順位 | 仕事選びの決め手 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 手取り額 | 18.5% |
| 2位 | 残業時間の多さ | 15.3% |
| 3位 | 家賃補助(寮) | 12.2% |
出典:アイデムグローバル2023(n=356)
金銭系だけで46%。ここが日本人求職者との最大の違いです。仕事内容や社風の前に、まずここで足切りされます。
見られているのは額面ではなく「手取り」
重要なのは、比較されているのが額面ではなく手取りだという点です。
調査では74.2%が「手取り18万円以上」を最低希望としています。ベトナム・ミャンマー出身者では「手取り20万円以上」を希望する層も多数を占めます。
ここで、寮の設計が効いてきます。
| 条件 | 額面 | 手取りの目安 | 心理ライン18万円 |
|---|---|---|---|
| 寮費3万円を天引き | 25万円 | 約17万円 | 割る |
| 寮費を会社が負担 | 25万円 | 約20万円 | 超える |
※手取りは概算・推定です。実際の控除額は扶養や自治体で変わります。
同じ額面25万円でも、寮費の扱いひとつで応募の分岐点をまたぎます。 額面を上げるより、住まいのコストを誰が持つかを決め直すほうが、効果が大きく費用も読みやすいという場面はよくあります。
住まいの手配そのものについては、定着・住まいのサポートに書いています。当社は宅地建物取引業を行いませんので、住まいの確保は不動産会社と連携してお手伝いします。
残業は「負担」ではなく「稼げる材料」
日本人向けの求人では、残業が少ないことが売りになります。外国人材では逆に働くことがあります。
決め手の2位が「残業時間の多さ」で、希望残業は**「月50時間程度」が44.8%**。母国へ送金するため、総支給額を最大化したいという動機です。
ただし、ここには天井があります。建設業も2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されました。残業で稼がせる設計は、法律のほうが先に止めます。 基本給と手当の設計で解く前提に切り替えてください。
「安く雇う」が制度上できない理由
特定技能「建設」には、他分野にない上乗せ要件があります。
- 日本人と同等以上の報酬額であること
- 月給制であること(日給・時給での支払いは不可)
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
- JAC(建設技能人材機構)への加入と受入負担金
賃金の実勢は、特定技能全体で月給25.03万円(令和6年・厚生労働省「外国人雇用実態調査」)、建設分野は25.8万円前後とされています。技能実習が21.0万円ですから、水準が違います。
そこに間接費が乗ります。
| 費目 | 金額の目安 |
|---|---|
| JAC受入負担金 | 月12,500円(賛助会員の場合) |
| 支援委託費(登録支援機関へ) | 月2〜3万円 |
| 月あたり合計 | 3.5〜5万円 |
給与25万円+間接費4万円+寮の補助を積めば、総コストは日本人の未経験〜若手と同等かやや上になります。
では、何が価値なのか
安さではありません。
- 来てくれる(日本人の応募がそもそも来ない職種で、母集団が形成できる)
- 辞めにくい(転籍に手続きコストがかかる。ただし後述のとおり無風ではない)
- 若い
- 複数名を計画的に確保できる
この4つです。ここを目的に据えれば、コストの見え方が変わります。
下限に張り付けると、採用の前に事故が起きる
給与を最低ラインに寄せる設計には、はっきりしたリスクがあります。
技能実習の失踪動機は67.2%が「低賃金」、失踪者の実習先月給は15万円以下が9割超(法務省調査)。そして建設分野の失踪率は6.6%と全分野で突出しています。
さらに国内では転籍市場での給与競争がすでに起きています。離職理由の3位が「より給与が高い企業への転職」で24%。円安の影響で新規来日は細り気味(「日本で働きたくない理由」1位が円安35.5%)ですから、今後は在留者の奪い合い=提示条件の勝負が強まります。
実務の肌感としては、「額面21〜25万円+寮」が参入の最低線、「26万円+寮+2号への道筋」なら転籍市場でも戦えるというあたりです(推定を含みます)。
まとめ
- 決め手は手取り・残業・住まいの3点で、金銭系だけで46%
- 74.2%が手取り18万円以上を最低希望。寮費3万円の天引きでこのラインを割る
- 特定技能「建設」は日本人と同等以上の報酬+月給制が法的義務。安く雇う選択肢は制度上ない
- 総コストは日本人の若手と同等かやや上。価値は「安さ」ではなく「確保できること」
当社は登録支援機関ではありませんので、支援業務そのものは行いません。登録支援機関とは連携してご支援します。だからこそ、どの機関に委託するかも含めて、御社の側に立って条件を組み立てられます。
よくあるご質問
「うちの場合、費用と期間はどうなる?」
要件・費用・期間は、会社の状況で変わります。建設業許可やCCUS、月給制への切り替えを含めて、御社の現状から順番を整理します。ご相談は無料です。
相談だけで終わっても構いません。しつこい営業はしません。